2013年2月6日、台湾の司法院は、外国人の一時収容を定めた入出国及び移民法38条は、即時かつ有効な司法救済が受けられない点と、一時収容期間を超える収容について裁判所の審査がなされない点について、身体の自由を保障した憲法8条1項に違反するという解釈を交付しました(司法院釈字第七〇八号解釈)。

台湾司法院釈字第七〇八号解釈 原文PDF

台湾司法院釈字第七〇八号解釈(解釈文及び解釈理由書の部分)日本語訳PDF

※外国人ローヤリングネットワーク提供

釋字第708號解についての憲法法廷ウェブサイトはこちら ※中華民国憲法8条1項、出入国及移民法38条など、条文も掲載されています

※2018年1月4日改正の憲法訴訟法(2022年1月4日施行)の施行前、台湾においては、司法院大法官15名が法令の違憲審査を行う憲法裁判所の役割を果たしていました。

事案の概要

2013年当時の台湾の法制度においては、法令の違憲審査を行うに当たり、個別事案に対する判断はなされませんでした。

なお、個別事案については、台湾の憲法法廷のウェブサイトで紹介されています。

司法院の解釈要旨

(1)憲法8条1項は、人民の身体の自由を保障しており、身体の自由を奪うには法的根拠を要するほか、司法手続又はその他の適正手続に従わなければならない。人身の自由は、人間の一切の自由・権利の根本であり、国籍を問わず何人にも保障され、外国人も本国人と同様に保障されるべきである。

(2)1996年12月26日改正の入出国及び移民法38条1項は、「外国人が次のいずれかに該当する場合、・・・入出国及び移民署はその者を一時収容することができる」と定めるが、退去させるために合理的な作業期間について一時収容する処分は、裁判所の判断によらなくても良い。もっとも、①一時収容については、直ちに裁判所による審査を請求するという救済を求める機会がなければならず、②一時収容期間を超える収容については、移民署ではなく裁判所の審査がなければならない。これらが保障されないことは憲法8条1項に違反する。

(3)本解釈の発付から2年以内に、係争規定のうち、憲法に反する部分を改正しなければ、同部分は失効する。