2012年12月24日、人権理事会第22会期で発表された、国連恣意的拘禁作業部会の審議結果第9号(慣習国際法における自由の恣意的剥奪の定義と範囲)(Deliberation No.9 concerning the definition and scope of arbitrary deprivation of liberty under customary international law)の原文と日本語訳です。
Deliberation No. 9(原文・英語)PDF(国連サイト)※外部リンク
審議結果第9号(日本語訳)PDF(恣意的拘禁ネットワーク訳)
(恣意的拘禁ネットワーク 日本語訳)
A/HRC/22/44
審議結果第9号 慣習国際法における自由の恣意的剥奪の定義と範囲
Deliberation No.9 concerning the definition and scope of arbitrary deprivation of liberty under customary international law
A. 序論と方法
37. 恣意的拘禁作業部会は、恣意的な自由の剥奪の事例を受理し、検討するという特定の任務をかつての人権委員会と人権理事会から与えられた国際人権システムにおける唯一の機関である。この地位において、作業部会は、1991年以降、国内的、地域的、国際的法域において発展してきた自由の剥奪に関する国際的な法規則を解釈し、実施してきた[1]。作業部会は、慣習国際法における恣意的な自由の剥奪の定義と範囲を決定するために、国際条約、自らの先例、人権保護のための国際的・地域的メカニズムの先例を検討した。
38. 作業部会は、以下の場合、自由を剥奪された事案を慣習国際法上、恣意的なものとみなしている。
(a) 自由の剥奪を正当化するいかなる法的根拠も援用することが明らかに不可能な場合
(b) 自由の剥奪が、世界人権宣言7、13、14、18、19、20、21条で保障された権利・自由の行使の結果である場合
(c) 世界人権宣言や関連国際条約で定められた、公正な裁判を受ける権利に関する国際規範の完全な又は部分的不遵守が、自由の剥奪に恣意的な性質を与えるほど重大なものである場合
(d) 庇護申請者、移民又は難民が、救済のための行政上又は司法上の審査の可能性なく、長期間行政拘禁を受けている場合
(e) 自由の剥奪が、出生、国籍、種族的もしくは社会的出身、言語、宗教、経済状況、政治的その他の意見、ジェンダー、性的指向、障害、その他の地位に基づく差別によって国際法違反を構成し、それが人間の平等を無視することを目的とするかまたはそのような結果になり得る場合
39. 2011年10月31日、作業部会は、各国と市民社会との協議を行い、国内法における恣意的な自由の剥奪の禁止に関する2つの質問に回答するよう、口上書を送付した[2]。
40. 作業部会は、アフガニスタン、オーストラリア、アゼルバイジャン、カナダ、チリ、コロンビア、デンマーク、エストニア、フランス、ジョージア、ギリシャ、日本、ヨルダン、キルギス、レバノン、リトアニア、モーリタニア、モーリシャス、モロッコ、オマーン、パラグアイ、ポルトガル、カタール、サウジアラビア、セルビア、スペイン、スリナム、スイス、トルコから書面による提出を受けた。また、作業部会は、国際法律家委員会とスペイン国際人権法学会からも書面提出を受けた。さらに、2011年11月22日の作業部会の公開協議に参加した各国政府および市民社会の建設的な関与と協力に感謝の意を表する。
41. 作業部会は、自らの先例、国際・地域的メカニズム、協議、および口上書に対する提出書面を検討した結果に基づき、慣習国際法における恣意的な自由の剥奪の定義および範囲について、以下の審議結果を採択する。
B. 国際法における恣意的な自由の剥奪の禁止
42. 恣意的な自由の剥奪の禁止は、人権の促進と保護のためのすべての主要な国際・地域的文書で認められている。世界人権宣言と市民的及び政治的権利に関する国際規約の第9条、人及び人民の権利に関するアフリカ憲章の第6条、米州人権条約第7条1、アラブ人権憲章第14条、欧州人権条約第5条1などがある。
43. 現在、167カ国が市民的及び政治的権利に関する国際規約を批准しており、恣意的な自由の剥奪の禁止は、各国の憲法や法律に広く規定されており、当該問題に関する国際的な規範や基準に密接して従っている[3]。恣意的な自由の剥奪に関する国際条約が広く批准されていること、そして国内法にその禁止が広く盛り込まれていることは、ほぼ普遍的な国家慣行を構成し、恣意的な自由の剥奪の禁止の慣習性を証明している。さらに、多くの国連決議が、これらの規則の慣習的性質を支持する法的信念を裏付ける。第一に、当時、恣意的拘禁を禁止する条約に拘束されていなかったある特定の国について、恣意的拘禁の禁止を指摘する決議[4]、第二に、条約上の義務による区別なくすべての国を対象とした、恣意的拘禁に関する規則についての極めて一般的性質を持つ決議[5]。それらの決議は、恣意的な自由の剥奪の禁止が、慣習国際法において普遍的な拘束力を持つというコンセンサスを示している。
44. 国際司法裁判所は、テヘランに駐留する米国の外交官・領事館員に関する事件の判決で、「人間の自由を不当に奪い、過酷な状況下で身体的拘束を行うことは、それ自体、国際連合憲章の原則および世界人権宣言に謳われている基本原則と明らかに相容れない」と強調した[6]。
45. 「恣意的な」逮捕・拘禁の禁止は、平時においても武力紛争時においても認められている[7]。国際法は、身体的自由を奪う拘束やその他身体の自由の著しい剥奪は、それが文民たる住民に対し広範又は組織的な攻撃の一部として行われた場合、人道に対する罪と認めている[8]。
46. 中国(憲法第37条)、カタール(刑事訴訟法第40条)、サウジアラビア(サウジアラビア統治基本法第36条およびサウジアラビア刑事訴訟法(勅令第M/39号)第35条)、アラブ首長国連邦(憲法第26条)などを含む、市民的及び政治的権利に関する国際規約の非締約国の国内法にも、恣意的な逮捕・拘禁の詳細な禁止事項が含まれている。主要な人権条約の非締約国のこのような慣行は、自由の恣意的な剥奪の禁止の慣習的な性質のさらなる証拠である。
47. 恣意的な自由の剥奪の禁止と、自由を剥奪された人がその拘束の適法性を争うため裁判所において裁判を受ける権利(人身保護(habeas corpus)として知られる法域もある)は、条約と慣習国際法のいずれの下でも効力を停止できない(non-derogable)。前者については、アラブ人権憲章により明確に認められており、同憲章は自由を恣意的に奪われない権利は効力停止できないものとして掲げている(14条2項)。同様に、米州人権条約では、「(効力停止できない)権利の保護に不可欠な司法上の保障」の効力停止(derogation)を禁止している(27条2項)。世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約、アフリカ人権憲章、欧州人権条約においては、恣意的な自由の剥奪の禁止の効力停止は取り上げられていない。これは、人権条約の全ての効力停止規定(derogation provisions)に共通する条件である、脅威にさらされている特定の利益を保護するために、効力停止に従いとられる措置が必要であるということによる[9]。
48. 自由を恣意的に剥奪することは、必要かつ比例的な措置とはなり得ない。なぜなら、国家が効力停止に基づいて援用しうる考慮事項は、恣意性の基準自体にすでに織り込まれているからである。したがって、国家は、違法、不当、予測不可能な自由の剥奪が、重要な利益の保護のために必要であり、その目的に比例していると主張することはできない。この見解は、自由を恣意的に奪われないという規約上の権利と、自由を奪われた者が拘禁の適法性に異議を申立てるために裁判所に訴訟を提起する権利が効力停止できないものであるという自由権規約委員会の結論と一致する[10]。
49. 自由を奪われた者が、その拘禁の適法性を争うために裁判所において裁判を受ける権利については、前述のすべての地域的条約がこの権利を効力停止できないものとしている[11]。さらに 国連加盟国の国内法では、恣意的な自由の剥奪の禁止と、自由を剥奪された者がその拘禁の適法性を争うために裁判所において裁判を受ける権利のいずれもが取り入れられているため、必要とされる法的正当化なくして人を拘禁することは、国家の慣行として認められた規範に反する[12]。国際司法裁判所は、2010年のディアロ事件判決において、市民的及び政治的権利に関する国際規約第9条1項及び2項、並びにアフリカ人権憲章第6条(恣意的拘禁の禁止)は、「その法的根拠や追求される目的が何であれ」、いかなる形態の拘禁にも原則として適用されると指摘した[13]。
50. さらに、慣習国際法による恣意的な自由の剥奪の禁止から逸脱することはできない。慣習国際法の下での効力停止の権利(the right to derogate)に相当するものは、国家責任に関する二次的な規則、特に国際的な義務に反する行為の違法性を排除する状況としての必要性の抗弁に見られるものである。国際法委員会の「国際的に違法な行為に対する国の責任」に関する条文では、特に「重大かつ差し迫った危険から根本的利益を守るために当該国にとって唯一の方法である」場合にのみ、これを行使できるとされる(第25条1(a))。人権条約に規定されている効力停止の権利と同様に、慣習国際法上の必要性の主張が有効となるための必須条件は、問題となっている国際的な義務の不遵守が、実際にその目的のために必要であり、かつその目的に比例したものであることである[14]。前述したように、恣意的な自由の剥奪に関して、これは決してあり得ない。
51. したがって、恣意的な自由の剥奪の禁止は、条約法、慣習国際法の一部であり、強行規範である。この審議結果で述べられた具体的な内容は、あらゆる状況において完全に適用される。
C. 自由の剥奪としての具体的状況の性質
52. 1964年、かつての人権委員会に設置された委員会は、すべての人が恣意的な逮捕、拘禁、追放から自由であるという権利について研究した。今日まで、この研究は、この問題に関する唯一の詳細な多面的研究である。この研究によると、拘禁とは、
逮捕の継続の有無にかかわらず、ある人を一定の場所に監禁し、家族との生活や通常の職業・社会活動ができないような拘束をする行為である[15]。
53. この研究は、逮捕を次のように定義する。
法の権限または他の種類の強制力に基づいて人を拘束する行為であり、拘束された時点から、拘束の継続または解放を命じる権限のある当局に引き渡されるまでの期間を含む[16]。
54. 作業部会が設置された当時、「拘禁」という文言は明確に定義されていなかった。この文言の解釈の違いが暫定的に解決されたのは、かつての人権委員会の決議1997/50が採択されてからである。この決議は、作業部会の任務の更新を次のように規定する。
国内法、世界人権宣言に定められた関連国際基準、関係国が受け入れた関連国際文書に従った国内裁判所による最終決定がなされていないことを条件に、自由の剥奪が恣意的になされた事案の調査の任務を委託される。
55. 自由権規約委員会は、自由及び安全に対する権利に関する一般的意見第8号(1982年)において、規約第9条第1項は、出入国管理に関する事案を含む「すべての自由の剥奪」に適用されると結論づけている[17]。移動の自由の制限を伴う個人の監禁や留置は、たとえそれが比較的短期間であっても、事実上の自由の剥奪となる可能性がある。
56. 作業部会は、「(かつての人権委員会にとって)『恣意的拘禁』という表現において重要だったのは、本質的に『恣意的』という言葉であり、つまり、当該自由剥奪の段階がどのようなものであれ、あらゆる形態の恣意性を排除することであった」という立場を一貫してきた[18]。
57. 作業部会は、あらゆる形態の自由の剥奪を拘禁とみなし、かつての声明を再度強調したい。
もし、「拘禁」という文言が裁判前の拘禁だけに適用されるのであれば、[世界人権宣言は]いかなる性質の裁判に基づく恣意的な拘禁も非難していないことになる。このような解釈は、本質的に受け入れられない。実際、世界人権宣言は第10条において、独立した公平な裁判所による公正で公開された審理を受ける権利が完全に平等に与えられていることを規定している。このことは、第9条における「拘禁」という表現が、裁判前、裁判後を問わず、すべての状況を指すことをより一層裏付ける[19]。
58. この広い解釈は、現在の国家の慣行により裏付けられる。
59. 駅、港、空港、その他の施設で個人を一時的に拘束し、継続的に監視下に置くことは、個人の移動の自由を制限するだけでなく、事実上の自由の剥奪を構成する[20]。作業部会は、自宅軟禁、労働によるリハビリテーション、移民や庇護希望者のための非公認センターにおける留置、精神科施設、港や国際空港のいわゆる国際・通過区域、集合センター、病院などに関するこれまでの審議結果において、このことを確認してきた[21]。
60. この点において、秘密および/または連絡手段を絶たれた状態での拘禁は、慣習国際法における人間の自由の権利を保護する規範に対する最も悪質な違反である。このような形態の自由の剥奪は、個人があらゆる法的保護の外に置かれているため、恣意性が内在している[22]。
D. 慣習国際法における「恣意性」の概念とその構成要素
61. 厳密な意味での「恣意的」という概念には、特定の形態の自由の剥奪が適用される法律と手続きに従って行われるという要件と、それが求める目的に比例しており、合理的かつ必要であるという要件の両方が含まれる[23]。市民的及び政治的権利に関する国際規約第9条の起草経緯は、「『恣意性』は『法に反すること』と同一視されるべきではなく、不適切さ、不公正さ、予測可能性及び法の適正手続の欠如の要素を含むように、より広く解釈されなければならないことを確認する」とする[24]。
62. 自由権規約委員会は、「恣意性の性質評価を避けるために、締約国が適切な理由を提供できる期間を超えて拘禁を継続すべきではない」と指摘してきた[25]。拘禁を正当化する法的根拠は、アクセス可能、理解可能、非遡及的であり、すべての人に平等に、一貫性ある予測可能な方法で適用されなければならない。さらに、自由権規約委員会によれば、恣意的な逮捕・拘禁に対する必須のセーフガードは、逮捕の根拠となる嫌疑の「合理性」である。欧州人権裁判所によると、「『合理的な疑い』を持つことは、関係者が罪を犯した可能性があると客観的な観察者が納得するような事実または情報が存在することを前提とする」とされている。しかし、何が 「合理的」とみなされるかは、全状況による[26]。
63. 「恣意的拘禁」という概念は、広義では、法律そのものに起因することもあれば、政府職員の特定の行為に起因することもある。拘禁は、たとえ法律で認められていても、恣意的な法律を前提とし、また差別的な理由に基づくといった本質的に不当なものであれば、恣意的とみなされる可能性がある[27]。何の基準も見直しもなく自動的に無期限の拘禁を認める過度に広範な法律は、恣意的であると推定される。
64. 軍隊による逮捕・拘禁や良心的兵役拒否者の繰り返しの投獄により徴兵を認める法律は、司法の監視が保証されていない場合、恣意的なものとみなされる可能性がある。作業部会は、良心的兵役拒否者の拘禁が、とりわけ、世界人権宣言第9条、市民的及び政治的権利に関する国際規約第9条及び第18条に違反していると判断したことがある[28]。
65. また、国際人権法において保障された基本的な権利や自由と相容れない法規定は、拘禁を恣意的なものとする[29]。この点、各国の裁判所は、自由権規約委員会により適用される恣意性の概念を用いている[30]。
66. 作業部会は、市民的及び政治的権利に関する国際規約第9条第3項に規定されている迅速性の概念が、拘禁を恣意的なものとしうる重要な要素の一つであると考える。自由権規約委員会は、当事者が裁判官の面前に連れていかれるまで「数日」遅延した事案について、規約第9条第3項の違反を一貫して認めてきた[31]。加えて、欧州人権裁判所は、「『迅速性』という概念を解釈し適用する際の柔軟性の範囲は非常に限られている」と説明してきた[32]。また、同裁判所は、「いかに短い期間であっても、拘禁の正当性は当局によって説得的に示されなければならない」と強調してきた[33]。
67. 自由の剥奪の期間の延長は、詳細な正当性を示す十分な理由に基づかなければならず、抽象的または一般的なものであってはならない。
68. 行政拘禁への依存が高まっていることは特に憂慮すべきことである。作業部会が検討した行政拘禁の種類には、予防的拘禁、緊急時または例外的状況における拘禁、テロ対策を理由とした拘禁、入管収容、刑事法上の行政拘禁が含まれる。市民的及び政治的権利に関する国際規約の第9条は、行政命令に基づいて拘禁された者の自由に関する中心的規定の一つである[34]。行政拘禁は、例えば、制裁措置が、たとえ国内法上は行政上の拘禁とされていても、その目的、性格または重大性のために刑罰とみなされなければならない場合には、規約第14条において成文化されている慣習法の対象となる。
69. 作業部会は、設置以来、圧倒的な数の行政拘禁事件を把握してきている。すでに1992年に作業部会は、緊急事態法に基づく個人の拘禁は恣意的であり、救済措置と公正な裁判を求める権利に関する規定に反すると判断している。その後も作業部会は、行政拘禁の事例において、市民的及び政治的権利に関する国際規約の第9条及び第14条に含まれる諸規定の違反を一貫して判断してきた。
70. 作業部会が扱った行政拘禁のケースの大半では、基礎となる国内法が刑事訴追や裁判を規定していない。そのため、この種の自由の剥奪の根拠が司法ではなく行政にあることで、そのような拘禁が司法審査の可能性がなく、不当、不合理、不均衡なものになるという特有の危険がある。
71. テロ対策のためには、「拘禁に関する措置や公正な裁判を受ける権利など、一定の保証を制限する具体的措置の採用」が極めて限定的に必要となる可能性があることは認められるが、作業部会は、「いかなる状況においても、自由の剥奪は国際法の規範との整合性を保たなければならない」と繰り返し強調している[35]。この点、自由を奪われた人が、その拘禁の適法性を問うために裁判所の面前において手続きをとる権利は、個人の権利であり、「あらゆる状況において、通常の裁判所の権限により担保されなければならない」[36]。
72. 行政拘禁を認めるテロ対策法は、無期限拘禁の根拠となる秘密の証拠を認めることが多い。これは恣意的な自由の剥奪の禁止と矛盾するため、入国管理、テロリズム関連、その他の行政拘禁の場合も含め、被拘禁者が対応する能力を持たない証拠のみに基づいて、何人も自由を剥奪され、また拘禁が継続されるべきではない。作業部会は、被拘禁者の弁護士がそのような証拠にアクセスできたとしても、証拠を依頼人と共有したり、議論したりすることが許されない場合、それは被拘禁者の自由に対する権利を十分に保護するものではないと判断している[37]。
73. 作業部会はまた、「テロやその他の犯罪への関与が疑われる人物を拘禁する手段として、実効的な司法による監督なしに無期限または非常に長期間にわたって自由を奪うことになる、公安法(public security legislation)または移民法(migration laws)に基づく『行政拘禁』の使用は、国際人権法と適合しない」と繰り返し指摘している[38]。行政拘禁の慣行は、独房監禁、拷問やその他虐待行為の可能性を高めるものであり、特に憂慮すべきものである。
74. 行政拘禁は、それ自体が恣意的拘禁に等しいわけではないが、実際にはその適用範囲は過度に広く、また、適正手続きの最低保証の遵守が不十分なケースが大半である。
75. 結論として、また上記を踏まえて、恣意的拘禁作業部会は、上記パラグラフ38で言及した5つのカテゴリーの恣意的な自由の剥奪を含む、あらゆる形態の恣意的な自由の剥奪が、慣習国際法の下で禁止されていると指摘する。恣意的拘禁作業部会はまた、恣意的な自由の剥奪は、絶対的または強行規範による義務を構成することを指摘する。
[1] Commission on Human Rights resolution 1991/42, establishing the Working Group on Arbitrary Detention and Human Rights Council resolutions 6/4 and 15/18. See also Working Group on Arbitrary Detention, annual reports to the Human Rights Council and General Assembly, report 2011 (all reports available on the Internet at www.ohchr.org/EN/Issues/Detention/Pages/Annual.aspx). See further Commission on Human Rights resolution 1997/50.
[2] These questions were: (1) is the prohibition of arbitrary deprivation of liberty expressly contained in your country’s legislation? If so, please refer to the specific legislation; and (2) what elements are taken into account by national judges to qualify the deprivation of liberty as arbitrary? If possible, please provide concrete examples of the judgments.
[3] According to replies received to the questionnaire mentioned in paragraph 38 of the present document, see: sections 18 of the Human Rights Act and 21 of the Charter of Human Rights and Responsibilities Act in Australia and article 75 (v) of the Constitution of Australia; articles 28 of the Constitution of Azerbaijan and 14 of the Criminal Procedure Code; section 9 of the Canadian Charter of Rights and Freedoms; article 66 of the Constitution of France and articles 432 (4) and following of the Criminal Code of France; article 17 (4) of the Constitution of Spain; article 71 (2) of the Constitutional Act of Denmark; article 19 (7) of the Constitution of Chile; article 23 of the Constitution of Morocco; articles 31, 33 and 34 of the Constitution of Japan; articles 414–417 of the Penal Code of Afghanistan; articles 11, 12 and 133 of the Constitution of Paraguay; Habeas Corpus Law of Paraguay No. 1500/99; articles 18, 40 and 42 of the Constitution of Georgia; articles 143, 176 and 205 of the Criminal Code of Georgia; article 6 of the Constitution of Greece and articles 325–326 of the Penal Code of Greece; articles 174–177 of the Penal Code of Colombia; article 146 of the Criminal Code of Lithuania; article 31 of the Constitution of Switzerland; articles 90–108 of the Penal Code of Turkey; article 16 of the Constitution of Kyrgyzstan and articles 125 and 324 of the Penal Code of Kyrgyzstan; section 136 of the Penal Code of Estonia; articles 27–31 of the Constitution of Serbia; article 27 of the Constitution of Portugal; and section 5 of the Constitution of Mauritius.
[4] For example, Security Council resolutions 392 (1976), 417 (1977) and 473 (1980) on South Africa.
[5] For example, General Assembly resolution 62/159.
[6] United States Diplomatic and Consular Staff in Tehran (United States of America v. Iran), Judgments, I.C.J. Reports 1980, p. 42, para. 91.
[7] See, for example, Human Rights Committee, concluding observations on the combined fourth and fifth periodic reports of Sri Lanka, CCPR/CO/79/LKA, para. 13; concluding observations on the initial report of Uganda, CCPR/CO/80/UGA, para. 17; concluding observations on the third periodic report of the Sudan, CCPR/C/SDN/CO/3, para. 21. See also International Committee of the Red Cross, Customary International Humanitarian Law Database, rule 99 (deprivation of liberty).
[8] Article 7, paragraph 1 (e), of the Rome Statute of the International Criminal Court; see also the Working Group’s opinions No. 5/2010 (Israel), No. 9/2010 (Israel) and No. 58/2012 (Israel).
[9] See, for example, art. 4, para. 1, of the Covenant on Civil and Political Rights; art. 15, para. 1, of the European Convention; art. 27, para. 1, of the American Convention; art. 4, para. 1, of the Arab Charter on Human Rights.
[10] Human Rights Committee, general comment No 29 (2001) on derogation during a state of emergency, paras. 11 and 16. The Inter-American Commission on Human Rights has also concluded that the arbitrary deprivation of liberty prohibition is non-derogable in its resolution adopted at the 1968 session, document OEA/Ser.L/V/II.19 Doc 32, Inter-American Yearbook on Human Rights, pp. 59–61.
[11] The Inter-American Court of Human Rights has confirmed this with regard to the American Convention, see, for example, Habeas Corpus in Emergency Situations (arts. 27(2), 25(1) and 7(6) of the American Convention on Human Rights), Advisory Opinion OC-8/87, 1987, Series A, No. 8, paras. 42–44; Judicial Guarantees in States of Emergency (arts. 27(2), 25 and 8 of the American Convention on Human Rights), Advisory Opinion OC-9/87, 1987, Series A, No. 9, para 41(1); Neira Alegria et al v. Peru, Judgement of 19 January 1995, paras 82–84 and 91(2). See also Habeas Corpus
in Emergency Situations, para. 35.
[12] See footnote 5 above. 訳者注:原文の脚注5は、本仮訳では脚注2に相当する。
[13] Ahmadou Sadio Diallo (Republic of Guinea v. Democratic Republic of the Congo), Merits, Judgment, I.C.J. Reports 2010, para. 77.
[14] James Crawford, The International Law Commission’s Articles on State Responsibility: Introduction, Text and Commentaries (Cambridge, Cambridge University Press, 2002), p. 184: “the requirement of necessity is inherent in the plea: any conduct going beyond what is strictly necessary for the purpose will not be covered”.
[15] Department of Economics and Social Affairs, Study of the right of everyone to be free from arbitrary arrest, detention and exile (United Nations publication, Sales No. 65.XIV.2), para. 21.
[16] Ibid., para. 21.
[17] Human Rights Committee, Torres v. Finland, communication No. 291/1988, Views adopted on 2 April 1990; A. v. Australia, communication No. 560/1993, Views adopted on 3 April 1997.
[18] Report of the Working Group to the Economic and Social Council, E/CN.4/1997/4, para. 54.
[19] Ibid., para. 66.
[20] See report of the Working Group to the Economic and Social Council, E/CN.4/1998/44, para. 41; Working Group opinion No. 16/2011 (China).
[21] See its deliberations Nos. 1, 4, 5 and 7.
[22] See the joint study on global practices in relation to secret detention in the context of countering terrorism, A/HRC/13/42, p. 2.
[23] See e.g. Human Rights Committee, A. v. Australia; Marques de Morais v. Angola, communication No. 1128/2002, Views adopted on 29 March 2005, para. 6.1; Inter-American Court of Human Rights, Gangaram Panday v. Suriname, Judgement, Ser. C, No. 16, 1994, para. 47; Working Group, opinions No. 4/2011 (Switzerland); No. 3/2004 (Israel).
[24] As noted by the Human Rights Committee in Mukong v. Cameroon, communication No. 458/1991, Views adopted on 21 July 1994, para. 9.8.
[25] Human Rights Committee, Madani v. Algeria, communication No. 1172/2003, Views adopted on 28 March 2007, para. 8.4.
[26] European Court of Human Rights, Fox, Campbell and Hartley v. The United Kingdom (application No. 12244/86, 12245/86, 12383/86), Judgement, para. 32.
[27] See category V of the arbitrary detention categories referred to by the Working Group when considering cases submitted to it.
[28] See, for example, Working Group, opinions No. 8/2008 (Colombia) and 16/2008 (Turkey); see also, Human Rights Committee, Yoon and Choi v. Republic of Korea, communications Nos. 1321/2004 1322/2004, Views adopted on 3 November 2006.
[29] See, for example, Working Group, opinions No. 25/2012 (Rwanda) and No. 24/2011 (Viet Nam).
[30] Submission from the Government of Australia: in Blundell v. Sentence Administration Board of the Australian Capital Territory, Judge Refshauge drew upon notions of arbitrariness as applied by the Human Rights Committee in A. v. Australia. Judge Refshauge identified disproportionality, capriciousness and lack of comprehensive reasons as the hallmarks of arbitrariness.
[31] Human Rights Committee, Bousroual v. Algeria, communication No. 992/2001, Views adopted on 30 March 2006, para. 9.6; Bandajevsky v. Belarus, communication No. 1100/2002, Views adopted on 28 March 2006, para. 10.3; Borisenko v. Hungary, communication No. 852/1999, Views adopted on 14 October 2002, para. 7.4.
[32] See Brogan and Others v. The United Kingdom (application 11209/84; 11234/84; 11266/84; 11386/85), Judgement, para. 62.
[33] European Court of Human Rights, Belchev v. Bulgaria, Final Judgement (application No. 39270/98), Judgement, para. 82. See also Medvedyev and Others v. France (application No. 3394/03), Judgement, paras. 119, 121 and 122.
[34] The International Court of Justice in its Diallo decision concluded that article 9, paragraphs 1 and 2, of Covenant apply in principle to any form of arrest or detention and are not confined to criminal proceedings. See Ahmadou Sadio Diallo (Republic of Guinea v. Democratic Republic of the Congo), para. 77.
[35] Report of the Working Group, E/CN.4/2004/3, para. 84.
[36] Ibid., para. 85.
[37] Working Group, opinions Nos. 5/2010 (Israel) and 26/2007 (Israel).
[38] Report of the Working Group, E/CN.4/2005/6, para. 77.
審議結果(deliberations)とは
国連恣意的拘禁作業部会は、その決定に一貫性を持たせるため、また、各国が恣意的となるような自由の剥奪をするのを未然に防ぐために、「審議結果」を策定して、自由の剥奪が恣意的となる基準を示しています。
国連恣意的拘禁作業部会 審議結果(deliberations)の外部リンクhttps://www.ohchr.org/EN/Issues/Detention/Pages/Deliberations.aspx
https://www.ohchr.org/Documents/Issues/Detention/CompilationWGADDeliberation.pdf
[2022/2/16最終更新]