※この報告は2020年9月20日に国連自由権規約委員会に提出したものです

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恣意的拘禁ネットワーク (Network against Arbitrary Detention) 

目次

第1 はじめに… 1

第2 刑事施設における拘禁… 3

1 長期化する昼夜独居拘禁及び恣意的な保護室収容措置(LOI, para.17)… 3

2 外部交通に対する妨害:秘密交通に対する執拗な妨害(LOI, para.17)… 6

3 終身刑化する無期懲役刑 (LOI, para.17). 9

第3 精神科医療における拘禁… 12

1 国内人権機構設置の進展(LOI,para.4)… 12

2  措置入院の必要性・比例性とセーフガードの確保(LOI, para.15(a)). 14

3 虐待の監視・報告制度(LOI15(b))… 18

第4 入管施設における拘禁(LOI, Para.21)… 18

1 退去強制中の不当な扱いを防ぐこと(LOI, Para.21(a))… 18

2 収容代替措置 (LOI, Para.21(e)). 22

第5 OPCATの批准と国内禁止メカニズム(NPM)の指定(LOI, para.4)… 26

1 はじめに:求められるOPCATの批准… 26

2 日本の拘禁施設と、それに対する視察機能を持つ機関の存否と実情… 28

第1 はじめに

1 このレポートを作成した者

日本は、他の文明諸国に比べて、きわめて恣意的な基準に基づいて人の自由が拘束され、また、その自由回復のための公正な手段が欠如した社会である。日本における人身の自由に対する極めて憂慮すべき状況は、ある特定の分野においてのみ生じているのではなく、刑事施設、精神科病院、入管収容と、分野を横断して生じている。

私たちは、日本において自由を奪われている人々の人権状況を改善するために活動している人権団体のネットワークであり、日本における拘禁問題につき横断的に捉えるべく、本レポートを協力して作成した。Appendix 1に各団体を紹介している。

2 警察拘禁=ダイヨーカンゴク

 日本の警察拘禁はダイヨーカンゴクとして悪名高い。被疑者は一つの逮捕事実に基づいて23日間の警察取り調べを受ける。起訴前の保釈制度はない。事件を細分化すれば、拘禁期間はこの何倍にも及ぶ。カルロスゴーン事件は検察官が逮捕し、拘置所に拘禁された事件であるが、長期間の取り調べが継続された点では共通の問題点を持っている。

3 死刑・無期懲役・有期の最高限は懲役30年

日本の刑罰制度においては、死刑、無期懲役刑、有期刑の最長は30年(2004年に20年から30年に引き上げられた)となっており、近年犯罪件数は減少しているにもかかわらず、刑罰の重刑化が進み、無期懲役受刑者1800人のうち、仮釈放されるのは年間10人足らずで、それ以上の者が受刑中に獄死している。

4 約13万人の精神障がい者が精神病院に非同意入院している

精神病院には、自らの意思に基づかない家族による同意入院と行政による措置入院を合わせると合計129014人(2019年6月30日時点)の精神障がい者が、その多くは私立の精神病院に拘禁されている。その社会復帰のための取り組みは貧弱である。また、各都道府県に設けられた精神医療審査会は、精神障害者の人権に配慮しつつ、その適正な医療及び保護を確保するため、精神科病院に入院している精神障害者の処遇等について専門的かつ独立的に審査を行う機関とされているが、その機能には訪問視察は含まれず、また委員の独立性には疑問がある。このような精神障がい者を隔離する政策は、精神を病んだ者の精神科医療への恐怖の感情を生み出し、彼らが適切な医療にアクセスするための障害となっている。

5 無期限・長期入管収容に抗議してハンガーストライキが全国化し、餓死者が出ている

入管収容施設には、入管法上の退去強制事由に該当すると入管当局に判断された者または疑われた者が収容されている。これらの者は収容するのが原則であり、必要性・相当性の要件は不要であるというのが政府見解である。退去強制令書に基づく収容期間は無制限であるため、収容期間の延長という概念がなく、一度収容が開始された後に一定期間ごとに収容継続の適法性をチェックする司法審査制度もない。ある程度認められてきた仮放免も近時ほとんど認められなくなり、半年以上の長期収容者が激増し、長期収容に抗議するハンガーストライキが全国の収容所で実施され、餓死する者まで出る深刻な事態となっている。ハンガーストライキにより体調不良となった者につき1~2週間のみ仮放免を認め、その後再収容し、また体調不良となれば1~2週間の仮放免と再収容を繰り返すという非人道的な運用が行われている。

6 私たちの願い

  NAADの切なる願いは、自由権規約委員会が事実に基づいて、日本政府に対して、我が国の拘禁制度の総体について、恣意的な拘禁の禁止、非人道的で品位を傷つける取り扱いの禁止という基本に沿った改革案を提起されることである。

(第2 刑事施設における拘禁に続く)